思ひ立つほどはいと 069
解読編
帚木 原文 現代語訳 第5章08
思ひ立つほどはいと心澄めるやうにて 世に返り見すべくも思へらず
難易度☆☆☆
難易度☆☆☆
(左馬頭)思い立った当座はとても心が洗われた感じがして、すこしも後悔すべくも思われない。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:女
- 《思ひ立つほどはいと心澄めるやうにて・世に返り見すべくも思へらず》A・B
思い立った当座はとても心が洗われた感じがして、すこしも後悔すべくも思われない。
直列型:A<B
- A<B:A<B
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:も思へらず/三次
〈[女]〉思ひ立つほどは いと心澄めるやうにて 世に返り見すべくも思へらず
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
- 「はべりし/02-066」「ことなり/02-066」「ことなり/02-067」「なりぬかし/02-068」「思へらず/02-069」「など言ふ/02-070」「うちひそみぬかし/02-071」「見たまひつべし/02-072」「漂ひぬべくぞおぼゆる/02-073」と短文で現在形が用いられている。事実を積み重ねることで説得力をもたせるゆく語り口である。
- 102「世に返り見すべくも思へらず」:文の終止
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語彙編
思ひ立つ
出家を思い立つ。
世に返り見す
世間に立ちかえる。還俗する。
おさらい
思ひ立つほどはいと心澄めるやうにて 世に返り見すべくも思へらず
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