すべてよろづのこと 076
解読編
帚木 原文 現代語訳 第5章15
すべてよろづのことなだらかに 怨ずべきことをば見知れるさまにほのめかし 恨むべからむふしをも憎からずかすめなさば それにつけてあはれもまさりぬべし
難易度☆☆☆
難易度☆☆☆
(左馬頭)万事何事につけことは穏便に、悋気の種がある時は知ってるますよとほのめかす程度にし、恨み言をいってしかるべき折りにも憎悪でなくちょっと触れるだけですませば、そうした対応に示すにつけ愛情も増すというものです。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:女/男の愛情
- 《すべて よろづのことなだらかに》A
万事何事につけことは穏便に、 - 《怨ずべきことをば見知れるさまにほのめかし》B
悋気の種がある時は知ってるますよとほのめかす程度にし、
- 《恨むべからむふしをも憎からずかすめなさば》C
恨み言をいってしかるべき折りにも憎悪でなくちょっと触れるだけですませば、
- 《それにつけて あはれもまさりぬべし》D
そうした対応に示すにつけ愛情も増すというものです。
分岐型:A+B+C<D
- A+B+C<D:A+B+C<D
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:ば…〈あはれ〉もまさりぬべし/二次
〈[女]〉すべて よろづのことなだらかに 怨ずべきことをば見知れるさまにほのめかし 恨むべからむふしをも憎からずかすめなさば それにつけて 〈あはれ〉もまさりぬべし
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
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語彙編
怨ずべきこと
浮気に対する悋気。
見知れるさま
すべてお見通しだという具合に(従って細かいことを聞きただしたりしない)。
恨むべからむふし
上の「怨ずべきこと」よりも深刻な状況。
あはれ
ここでは夫からの愛情。
おさらい
すべて よろづのことなだらかに 怨ずべきことをば見知れるさまにほのめかし 恨むべからむふしをも憎からずかすめなさば それにつけて あはれもまさりぬべし
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