絶えぬ宿世浅からで 074

2019-09-27☆☆☆:特別な問題点はない02 帚木,中断型

解読編

帚木 原文 現代語訳 第5章13

えぬ宿すくあさからで あまにもなさでたづりたらむも やがてあひひて とあらむをりもかからむきざみをも ぐしたらむなかこそちぎふかくあはれならめ われひともうしろめたくこころおかれじや 
難易度☆☆☆
(左馬頭)切っても切れぬ前世の縁が深く尼になすすんでに連れ戻せた場合でも、そのまま連れ添い、あんなこともこんな場合も許しあった夫婦仲こそ契り深く情愛こまやかなものですが、自分も妻もどうして心許すことができましょう。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:夫婦ともども

  • 絶えぬ宿世浅からで・尼にもなさで・尋ね取りたらむも》A・B・C
    切っても切れぬ前世の縁が深く尼になすすんでに連れ戻せた場合でも、
  • やがてあひ添ひて・とあらむ折もかからむきざみをも見過ぐしたらむ・仲こそ契り深くあはれならめ》D・E・F
    そのまま連れ添い、あんなこともこんな場合も許しあった夫婦仲こそ契り深く情愛こまやかなものですが、
  • 我も人もうしろめたく心おかれじやは》G
    自分も妻もどうして心許すことができましょう。

分岐型・中断型:A<(B<)C<[D<E<F<]G

  • A<(B<)C<[D<E<F<]G:A<C<G、B<C、D<E<F
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:も…うしろめたく心おかれじやは/三次

〈[夫]〉絶えぬ宿世浅からで 〈[妻]〉にもなさで 105ね取りたらむ /〈[夫婦]〉106がてあひ添ひて とあらむ折もかからむきざみをも見過ぐしたらむ〈仲〉こそ 契り深くあはれならめ/ 〈我も人も〉うしろめたく心おかれじやは
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • これまでは女が出家した場合について述べて来たが、ここでは、妻が出家してしまう前に見つけ出した場合を述べる。
  • 105「尋ね取りたらむ」→「うしろめたく心おかれじやは」
  • 106「やがてあひ添ひてとあらむ折もかからむきざみをも見過ぐしたらむ仲こそ契り深くあはれならめ」:挿入

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語彙編

宿世

夫との前世からの縁。

やがて

心一つに思ひあまる時でもはひ隠れたりせず、そのまま。

あひ添ひ

夫婦一緒に暮らす。

とあらむをりもかからむきざみをも

こんなことがあろうとあんなことがあろうと。

仲こそ契り深くあはれならめ

「絶えぬ宿世浅からで」よりも「契り深くあはれならめ」という発言は当時の人生観(仏教観)からはみ出している点で注目すべきであろう。「こそ……已然形」は下に逆接でつづいてゆく。

我も人も

夫である私も妻である相手も、「あひ知れる人/02-070」も。

心おかれじやは

否定の反語なので、強い肯定を表す。必ず心がおかれる。二人の心に隙ができる。

おさらい

絶えぬ宿世浅からで 尼にもなさで尋ね取りたらむも やがてあひ添ひて とあらむ折もかからむきざみをも 見過ぐしたらむ仲こそ契り深くあはれならめ 我も人もうしろめたく心おかれじやは

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