濁りにしめるほどよ 073
解読編
帚木 原文 現代語訳 第5章12
濁りにしめるほどよりも なま浮かびにては かへりて悪しき道にも漂ひぬべくぞおぼゆる
難易度☆☆☆
難易度☆☆☆
(左馬頭)俗世の濁りに染まっている時分よりもなま悟りでは、かえって悪趣に身を落とすはめになろうと思われます。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:世俗時代の女/出家後の女/発言者(左馬頭)
- 《濁りにしめるほどよりもなま浮かびにては》A
俗世の濁りに染まっている時分よりもなま悟りでは、 - 《かへりて悪しき道にも漂ひぬべくぞ・おぼゆる》B・C
かえって悪趣に身を落とすはめになろうと思われます。
直列型:A<B<C
- A<B<C:A<B<C
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:ぞおぼゆる/三次
〈[左馬頭]〉〈[女]〉濁りにしめるほどよりも なま浮かびにては かへりて悪しき道にも漂ひぬべくぞおぼゆる
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
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語彙編
濁りしめる
世俗にまみえて生活する。「しめる」は「染む/マ行四段)の已然形+完了「り」連体形。
なま浮かび
なま悟り。
悪しき道
この世での悪事の報いとして、死後に向かう苦悩の世界。六道のうち地獄道・餓鬼道・畜生道。
おさらい
濁りにしめるほどよりも なま浮かびにては かへりて悪しき道にも漂ひぬべくぞおぼゆる
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