今はただ 品にもよ 062
解読編
目次
帚木 原文 現代語訳 第5章01
今はただ 品にもよらじ 容貌をばさらにも言はじ
難易度☆☆☆
難易度☆☆☆
(頭中将)今はただもう、家柄にもよるまい、容姿などなおさら問うまい。
解釈の決め手
容貌をばさらにも言はじ
左馬頭との議論の末に、自身の前言「容貌きたなげなく若やかなるほどのおのがじしは塵もつかじと身をもてなし/02-055」を否定したのがこの表現。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:発言者(頭中将)
- 《今はただ・品にもよらじ・容貌をばさらにも言はじ》A・B・C
今はただもう、家柄にもよるまい、容姿などなおさら問うまい。
中断型・分配型:A<B<|*A<C
- A<B<|*A<C:A<B、*A<C
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:にもよらじ/一次φをば…も言はじ/一次
〈[発言者]〉今はただ 品にもよらじ 容貌をばさらにも言はじ
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
- 093「ただ」→「よらじ」「言はじ」の両方に係る。中止法を超えてかかることは、現代文ではない古文特有な用法である。
- 094「品にもよらじ」:連用中止法(文の終止も可)
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語彙編
品
階級。雨夜の品定は、もともと「中の品/02-027」と発言した頭中将の言葉を、「その品々やいかにいづれを三つの品に置きてか分くべき/02-029」と光源氏が受けたことから議論が始まっている。従って、頭中将のこの時点での結論がこの発言に集約されていると考えられる。
よらじ
女性を選ぶ基準にしない。因らない。
おさらい
今はただ 品にもよらじ 容貌をばさらにも言はじ
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