常はすこしそばそば 061
解読編
目次
帚木 原文 現代語訳 第4章15
常はすこしそばそばしく心づきなき人の をりふしにつけて出でばえするやうもありかし など隈なきもの言ひも 定めかねていたくうち嘆く
難易度難易度☆☆☆
難易度難易度☆☆☆
(左馬頭)普段はすこしすげすげしてて人好きしない女が、何かの折節公の場で才能を発揮することもあるものですしなどと、左馬頭は一点の曇りもないもの言いながら、頭中将は妻選びの要件を定めかねてひどくため息をつく。
ここがPoint
話者の変わり目
「ひたふるに子めきて柔らかならむ人/02-060」と対照的な女性。左馬頭に話者が変わったことを表す。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:妻候補/発言者(左馬頭)/頭中将
- 《常はすこしそばそばしく心づきなき人の・をりふしにつけて出でばえするやうもありかしなど》A・B
普段はすこしすげすげしてて人好きしない女が、何かの折節公の場で才能を発揮することもあるものですしなどと、 - 《隈なきもの言ひも・定めかねていたくうち嘆く》C・D
左馬頭は一点の曇りもないもの言いながら、頭中将は妻選びの要件を定めかねてひどくため息をつく。
直列型:A<B<C<D
- A<B<C<D:A<B<C<D
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:も定めかねて…うち嘆く/五次
常はすこしそばそばしく心づきなき〈人〉の をりふしにつけて出でばえする〈やう〉もありかしなど 〈[左馬頭]〉隈なきもの言ひも 〈[頭中将]〉定めかねていたくうち嘆く
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
- 092「人のをりふしにつけて出でばえする」:Aの連体形(主格「の」)
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語彙編
そばそばしい
よそよそしい。
心づきなき
愛情を感じにくい。
出でばえ
公の場で映える。
隈なきもの言ひ
先に、頭中将の発言に対しては「隈なげなる気色」とあった。「げ」には似て非なるのニュアンスがある。ここは明快な論説であることを意味する。
定めかねて
「中将待ちとりてこの品々をわきまへ定め争ふ/02-030」を受ける。
おさらい
常はすこしそばそばしく心づきなき人の をりふしにつけて出でばえするやうもありかしなど 隈なきもの言ひも 定めかねていたくうち嘆く
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