うち合ひてすぐれた 039 ★☆☆

2019-10-08★☆☆:語義の洗い直しから02 帚木,中断型

解読編

帚木 原文 現代語訳 第3章08

うちひてすぐれたらむもことわ  これこそはさるべきこととおぼえ  めづらかなることとこころおどろくま 
難易度★☆☆
(頭中将)立ち居も気品も家柄に似つかわしいく上々なのが世のことわり、これなどはそうあるのが当然と思われるから、めずらしいことだと心中驚くにあたらない。

解釈の決め手

うち合ひ:何と何がぴったりか

それにふさわしい(/02-038の注参照)。何と何が「うち合」ふのかが問題で、諸注は前に「うち合ひ」と称された「もとの品時世のおぼえ」をもってくるが、それは娘ではなく、娘が属する家の話。また「もとの品時世のおぼえ」と並列関係にある「やむごとなき」を無視するのも、文構造を無視した解釈である。ここは家柄よく世評もすぐれたご令嬢なら必ず備わっておくべき資質である「(内々の)もてなしけはひ」である。この二つともにすぐれていて当然だとの論理展開である。

ここがPoint

中止法とは

中止法を中にはさんだ一文「A|B」と二つの文「A B」とは、情報の流れとしては「A=A、B=B」で変わりはない。しかし、中止法は「前の情報より後の情報が重要である」とのメッセージをふくむのに対して、二つの文に情報の優劣はない。この点、両者は様相を異にする。
中止法は慣性の法則と考えるとわかりやすい。それまで情報が流れていたものが、急にブレーキがかかるので前につんのめる。情報は移動しないが、重心が前方に移動する分、情報の重要度が増すのである。文学的表現では余韻という。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:その娘発言者(頭中将)

  • うち合ひてすぐれたらむもことわり》A
    立ち居も気品も家柄に似つかわしいく上々なのが世のことわり、
  • これこそは・さるべきこととおぼえて・めづらかなることと心も驚くまじ》B・C・D
    これなどはそうあるのが当然と思われるから、めずらしいことだと心中驚くにあたらない。

分岐型・中断型:A<|B<C+D

  • A<|B<C+D:A、B<C+D
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:と…も驚くまじ/三次

[血統と評判]〉うち合ひてすぐれたらもことわり 〈これ〉こそは062るべきこととおぼえて めづらかなることと〈心〉も驚くまじ
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 062「さるべきこととおぼえて」「めづらかなることと心も驚くまじ」:並列

★ ★

語彙編

さるべきこと

そうあるのが当然。

おさらい

うち合ひてすぐれたらむもことわり これこそはさるべきこととおぼえて めづらかなることと心も驚くまじ

★ ★ ★