片端づつ見るに か 014 ★☆☆

2019-10-07★☆☆:語義の洗い直しから02 帚木,中断型,分配型

解読編

帚木 原文 現代語訳 第2章06

片端かたはしづつるに かくさまざまなるものどもこそはべりけ とて こころあてに それかかれかなどふなかに つるもあり もてはなれたることをもおもせてうたがふもをかしとおぼせど ことずくなにてとかくまぎらはしつつ とりかくしたまひ 
難易度★☆☆
ちらちら拾い読みしながら、よくまあいろいろな手紙があるものですねと言って、当て推量で、あの人の、それともあの方のなどと問ううちに言い当てたのもあり、お門違いな状況までも想定して勘ぐるのも興味こそわいたが、言葉少なにとかくはぐらかしながらとり隠してしまわれた。

ここがPoint

連用中止法

「問ふなかに言ひ当つるもあり」は係る先がないので、「終止形で文が終わる」と考えるか、「連用形で文は終わるが意味的に次に続く」と考えるかの二択となる。文の終止であれば、「片端づつ見るに…言ひ当つるもあり」は文に欠落要素がないため、挿入となる。「もて離れたる」以下と位相が異なってしまう。しかし、「片端づつ見る」の結果が「もて離れたる」に影響を与えているので、意味的につながりのある連用終止と考えると自然である。なおまた、連用終止の場合、その後ろに重要表現が出てくる。この場合「言ひ当つる」ことよりも、「もて離れたる」に光源氏の関心が向いている。文のストレスからも連用中止法を支持する。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:頭中将物(手紙)光源氏

  • 片端づつ見るに・かくさまざまなる物どもこそはべりけれとて》A・B
    ちらちら拾い読みしながら、よくまあいろいろな手紙があるものですねと言って、
  • 心あてに それかかれかなど問ふなかに》C
    当て推量で、あの人の、それともあの方のなどと問ううちに、
  • 言ひ当つるもあり・もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふもをかしと思せど》D・E
    言い当てたのもあり、お門違いな状況までも想定して勘ぐるのも興味こそわいたが、
  • 言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ》F
    言葉少なにとかくはぐらかしながらとり隠してしまわれた。

分岐型・中断型・分配型:A<(B<)C<D<|*C<E<F

  • A<(B<)C<D<|*C<E<F:A<C<D、B<C、*C<E<F CはAの言い換えに近い
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:ど…言少なにて…紛らはしつつとり隠したまひつ/五次

〈[頭中将]〉片端づつ見る かくさまざまなる〈物ども〉こそはべりけれとて 心あてに それかかれかなど問ふなか 025ひ当つるもあり もて離れたることをも思ひ寄せて〈疑ふ〉もをかしと思せ 〈[光源氏]〉026少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 「疑ふ」は緑だが、「言ひ当つるもあり」と揃えるために青とした。
  • 025「言ひ当つるもあり」:連用中止
  • 022「怨ずれば/02-012」→026「言少なにてとかく紛らはしつつとり隠したまひつ」

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語彙編

片端づつ見る

手紙の全文を読まずに、部分部分を流し読みすること。

心あて

当てずっぽう。

疑ふもの「も」

この「も」は「言いあつるもあり」の「も」を受ける。後には「ありて」などの省略がある。

おさらい

片端づつ見るに かくさまざまなる物どもこそはべりけれとて 心あてに それかかれかなど問ふなかに 言ひ当つるもあり もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふもをかしと思せど 言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ

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