その品々やいかに  029

2019-11-06☆☆☆:特別な問題点はない02 帚木,中断型,分配型

解読編

帚木 原文 現代語訳 第2章21

そのしなじなやいかに いづれをつのしなきてかくべき もとしなたかまれながら しづ くらゐみじかくてひとげなき また直人なほびとかんだちなどまでなりのぼり われがほにていへうちかざひとおとらじとおもへる そのけぢめを いかがくべきと ひたまふほどに ひだりのむまのかみとうしきぶのじようおほむ物忌ものいみもらむとてまゐ  
難易度☆☆☆
(光源氏)その上中下とはどうなの。誰をどこにおいて区分すればいいんだ。もともと高い身分に生まれながら、身はおちぶれ位が低くくて人以下の暮らしをしてたり、また普通の身分から上達部なんかにまでなり上がり、得意満面で屋敷内を飾りたて人に負けまいと気を張るのと、その境目はどう分けたらよいのか、と光の君が問うているところに、左馬頭と藤式部丞が物忌みで籠ろうとして参内してきた。

解釈の決め手

その品々やいかに:論争の濫觴

光源氏の提案は、カテゴリカルなもので議論のための話題作りという感じがする。実際、この質問内容から、かつて栄光にあった貴族の没落や、地位は高くないが資産のある受領など、品という静的な区分から、品をまたがる動的な話題へと変わってゆく。夕顔・若紫など、生涯にわたり光源氏に影響をおよぼす女性の多くが、この没落貴族であることを考えると、この議論はその予兆となっている点で重要である。雨夜の品定め中、光源氏がまともに発言したのはこの個所だけであり、そのことからも作者はここに力点を置いていることが想像される。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:頭中将没落貴族新興勢力光源氏左馬頭・藤式部丞

  • その品々やいかに・いづれを三つの品に置きてか分くべき》A・B
    その上中下とはどうなの。誰をどこにおいて区分すればいいんだ。
  • 元の品高く生まれながら 身は沈み位みじかくて人げなき》C
    もともと高い身分に生まれながら、身はおちぶれ位が低くくて人以下の暮らしをしてたり、
  • また直人の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾り人に劣らじと思へる》D
    また普通の身分から上達部なんかにまでなり上がり、得意満面で屋敷内を飾りたて人に負けまいと気を張るのと、
  • そのけぢめをばいかが分くべきと・問ひたまふほどに》E・F
    その境目はどう分けたらよいのかと 光の君が問うているところに、
  • 左馬頭藤式部丞御物忌に籠もらむとて参れり》G
    左馬頭と藤式部丞が物忌みで籠ろうとして参内してきた。

分岐型・中断型・分配型:(AφBφCφDφ*A+*B+*C+*D+E)<F<G

  • (AφBφCφDφ*A+*B+*C+*D+E)<F<G:A、B、C、D、*A+*B+*C+*D+E<F<G
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:に…とて参れり/六次

の〈品々〉やいかに 〈[頭中将よ]〉いづれ三つの品に置きてか分くべき 〈[女]〉040の品高く生まれながら 〈身〉は沈み〈位〉みじかくて人げなき また〈直人〉の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾りに劣らじと思へる 041のけぢめをばいかが分くべき 〈[光源氏]〉問ひたまふほど 〈左馬頭藤式部丞〉御物忌に籠もらむとて参れり
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 「人げなき」と「思へる」は「けぢめ」に係るため連体形。
  • 「置きてか分くべき」は係助詞「か」により結びは連体形。
  • 「いかが分くべき」の「いかが」は元「いかにか」であり、係助詞「か」が隠れているため、結びは連体形となっている。
  • 040「元の品高く生まれながら 身は沈み位みじかくて人げなき」「直人の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾り人に劣らじと思へる」(並列)→「そのけぢめ」
  • 041「そのけぢめ」:「元の品…人げなき」と「直人の…思へる」との「けぢめ」

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語彙編

分くべき

他動詞で、分ける。「分かるべき/02-026」は自動詞。

位みじかくて

身分が低い。

直人

貴族の出でない人。

おさらい

その品々やいかに いづれを三つの品に置きてか分くべき 元の品高く生まれながら 身は沈み位みじかくて人げなき また直人の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾り人に劣らじと思へる そのけぢめをばいかが分くべきと 問ひたまふほどに 左馬頭藤式部丞御物忌に籠もらむとて参れり

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