さるは いといたく 002

2019-10-06☆☆☆:特別な問題点はない02 帚木

解読編

帚木 原文 現代語訳 第1章02

さるは いといたくはばかり まめだちたまひけるほ  なよびかにをかしきことはなく  かたののせうしやうにはわらはれたまひけむか 
難易度☆☆☆

その実はもう、ひどく世間の目を気にかけ、気まじめそうにしていらっしゃるほどといっては、婀娜めいた艶話はなくて、恋の達人交野の少将には笑われておしまいだったでしょう。

解釈の決め手

さるは:副詞と接続詞では意味が異なる

接続詞で、前の内容をくつがえす時に用いる。「その実」「実際には」などの意味。前文で、もの言いさがない人が語り伝えたという「忍びたまひける隠ろへごと/02-001」に対して、実際にはそんなことはないと切り返してゆく。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:光源氏交野少将

  • さるは いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしきことはなくて》A
    その実はもう、ひどく世間の目を気にかけ、気まじめそうにしていらっしゃるほどといっては、婀娜めいた艶話はなくて、
  • 交野少将には笑はれたまひけむかし》B
    恋の達人交野の少将には笑われておしまいだったでしょう。

直列型:A<B

  • A<B:A<B
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:には笑はれたまひけむかし/三次

004るは 〈[光源氏]〉005といたく世を憚り 006めだちたまひけるほど 007よびかにをかしき〈こと〉はなくて 交野少将には笑はれたまひけむかし

  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 004「さるは」→「(…をかしきことは)なく(て)」
  • 005「いといたく世を憚り」「まめだちたまひける」(並列)→「ほど」
  • 006「…まめだちたまひけるほど」「なよびかにをかしきことはなく」(並列)→「て」
  • 007「なよびかに」「をかしきことは」(並列)→「なくて」

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語彙編

いたく

ひどく。

まめだち

まじめな様子。

なよびか

「まめだち」の反対、つやっぽい。

をかしき

興味をひく。

交野少将

散逸した物語の主人公とされており、恋の達人であったことになっている。

おさらい

さるは いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしきことはなくて 交野少将には笑はれたまひけむかし

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