七つになりたまへば 113
解読編
桐壺 原文 現代語訳 第8章08
七つになりたまへば 読書始めなどせさせたまひて 世に知らず聡う賢くおはすれば あまり恐ろしきまで御覧ず
難易度☆☆☆
七歳におなりなので、読書初めなどをおさせになったところ、世に類なく聡明で並外れた知力をお持ちなので、帝はあまりなことに空恐ろしいとまで御覧になった。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:光源氏/帝
- 《七つになりたまへば・読書始めなどせさせたまひて》A・B
七歳におなりなので、読書初めなどをおさせになったところ、 - 《世に知らず聡う賢くおはすれば・あまり恐ろしきまで御覧ず》C・D
世に類なく聡明で並外れた知力をお持ちなので、帝はあまりなことに空恐ろしいとまで御覧になった。
中断型:A<B|C<D
- A<B|C<D:A<B、C<D
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:ば…などせさせたまひて/二次|ば…まで御覧ず/四次
〈[御子]〉七つになりたまへば 〈[帝]〉読書始めなどせさせたまひて 世に知らず聡う賢くおはすれば 〈[帝]〉あまり恐ろしきまで御覧ず
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- 七つになりたまへば 読書始めなどせさせたまひて 世に知らず聡う賢くおはすれば あまり恐ろしきまで御覧ず
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- 七つになりたまへば 読書始めなどせさせたまひて 世に知らず聡う賢くおはすれば あまり恐ろしきまで御覧ず
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
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語彙編
あまり恐ろしきまで御覧ず
光の君が六歳で参内した際の印象、「いとどこの世のものならず清らにおよすげたまへればいとゆゆしう思したり(これまでにもまして、この世のものならず、輝きを放つばかりの美しさにご成長あそばされているので、帝はひどく不吉な感じをお抱きになられた)/01-107」と響き合う表現。出る杭は打たれる。帝は若宮の将来を不安に思われたのだ。
おさらい
七つになりたまへば 読書始めなどせさせたまひて 世に知らず聡う賢くおはすれば あまり恐ろしきまで御覧ず
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