わざとの御学問はさ 118

2019-09-29☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第8章13

わざとのおんがくもんはさるものにて ことふえにもくもひびかし すべてつづけば ことごとし うたてぞなりぬべきひとの おんさまなりけ  難易度☆☆☆
漢詩文など正式な学問はもとより、琴や笛の音色でも評判は宮中に響き渡り、美点をすべて並べつづけると仰々しく疎ましく思えてしまうそんなご様子でした。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:光源氏語り手

  • わざとの御学問はさるものにて》A
    漢詩文など正式な学問はもとより、
  • 琴笛の音にも雲居を響かし》B
    琴や笛の音色でも評判は宮中に響き渡り、
  • すべて言ひ続けば・ことごとしううたてぞなりぬべき人の 御さまなりける》C・D
    美点をすべて並べつづけると仰々しく疎ましく思えてしまうそんなご様子でした。

中断型:A|B|C<D

  • A|B|C<D:A、B、C<D
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:人の御さまなりける/三次

〈[御子]〉わざとの御学問はさるものにて 琴笛の音にも187を響かし 〈[私=語り手]〉すべて言ひ続け ことごとしう188たてぞなりぬべき189 御さまなりける
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 187「雲居を響かし」は連用中止法。
  • 188「うたてぞなりぬべき人の御様」:係助詞「ぞ」の結びは連体形の「べき」だが、「人の御さま」を修飾するため流れと考える。
  • 189「人の御さまなりける」:文末「ける」は「の」に対する結び(連体終止法と考えてもよい)

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • わざと御学問さるもの 琴笛雲居響かし すべて言ひ続けことごとしううたてなりぬべき 御さまなりける
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • わざとの学問はさるものにて 琴笛の音にも雲居を響かし すべて言ひ続けばことごとしううたてぞなりぬべき人の さまなりける
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

わざとの御学問

しっかりと態度でのぞむべき学問、貴族社会では必須である学問、即ち漢学。

さるものに

当然の立派に身につけ。

雲居

雲があるように敷居の高い場所、即ち、宮中。

ことごとしう

度重なることからくる仰々しさ。「ものものし」のような威圧感はない。うるさい。

うたて

物事がどんどん進んでいくことについて行けない感覚。読者が引いてしまうだろうとの弁明。相人が光源氏の将来を危ぶむ時に、なぜだろうと読者が驚きを感じるためにも、ここは光源氏の万能ぶりをアピールしておきたいという文脈上の要請がある。それにしても大袈裟だなと感じてしまう。

おさらい

わざとの御学問はさるものにて 琴笛の音にも雲居を響かし すべて言ひ続けばことごとしううたてぞなりぬべき人の 御さまなりける

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