いとおし立ち かど 097
解読編
桐壺 原文 現代語訳 第7章17
いとおし立ち かどかどしきところものしたまふ御方にて ことにもあらず思し消ちて もてなしたまふなるべし
難易度☆☆☆
とても押し出しが強く、とげとげしたやり方をなさるお方で、何ほどのことがあろうかと帝をお慰めする気持ちもそこそこに、憚りなく振る舞われるのでしょう。
解釈の決め手
思し消ち:何を考慮の外に置くのか
帝のお悲しみを軽視する。帝を無視するという解釈は行き過ぎであろう。桐壺にまつわる部分を否定するのである。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:弘徽殿の女御
- 《いとおし立ち かどかどしきところものしたまふ御方にて》A
とても押し出しが強く、とげとげしたやり方をなさるお方で、 - 《ことにもあらず思し消ちて》B
何ほどのことがあろうかと帝をお慰めする気持ちもそこそこに - 《もてなしたまふなるべし》 C
憚りなく振る舞われるのでしょう。
直列型:A<B<C
- A<B<C:A<B<C
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:もてなしたまふなるべし/四次
〈[弘徽殿の女御]〉いとおし立ち かどかどしきところものしたまふ御方にて ことにもあらず思し消ちて もてなしたまふなるべし
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
- 173「いとおし立ち」「かどかどしきところものしたまふ」(並列)→「御方にて」
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- いとおし立ち かどかどしきところものしたまふ御方にて ことにもあらず思し消ちて もてなしたまふなるべし
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- いとおし立ち かどかどしきところものしたまふ御方にて ことにもあらず思し消ちて もてなしたまふなるべし
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
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語彙編
おし立ち
横紙破り、我の強いこと。
かどかどしき
かどのあるさま。
ことにもあらず
何ほどでもない。重大事ではない。更衣風情が亡くなったからと言って、取り立てて騒ぐことではない。
おさらい
いとおし立ち かどかどしきところものしたまふ御方にて ことにもあらず思し消ちて もてなしたまふなるべし
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