いとすさまじうもの 096
解読編
桐壺 原文 現代語訳 第7章16
いとすさまじうものしと聞こし召す このごろの御気色を見たてまつる上人女房などは かたはらいたしと聞きけり
難易度☆☆☆
ひどく神経に障り不快だと帝はお感じになる。近頃帝のご様子を拝し申し上げる殿上人や女房たちは、はらはらしながら楽器の音を耳にするのだった。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:帝/上人・女房など
- 《いとすさまじうものしと聞こし召す》 A
ひどく神経に障り不快だと帝はお感じになる。 - 《このごろの御気色を見たてまつる上人女房などは かたはらいたしと聞きけり》B
近頃帝のご様子を拝し申し上げる殿上人や女房たちは、はらはらしながら楽器の音を耳にするのだった。
中断型:AφB
- AφB:A、B
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:と聞こし召す/二次φは…と聞きけり/二次
〈[帝]〉いとすさまじうものしと聞こし召す このごろの御気色を見たてまつる〈上人女房など〉は かたはらいたしと聞きけり
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- いとすさまじうものしと聞こし召す このごろの御気色を見たてまつる上人女房などは かたはらいたしと聞きけり
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- いとすさまじうものしと聞こし召す このごろの御気色を見たてまつる上人女房などは かたはらいたしと聞きけり
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
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語彙編
すさまじう
勢いが手に負えない感覚。
ものし
邪魔で動かせないことから来るいらだちの感情。
このごろの御気色を見たてまつる上人女房など
「このごろの御気色を見たてまつる」とするのは、帝が特に心を許した者たちであろう。「心にくき限りの女房四五人さぶらはせたまひて/01-082」とある。
上人
殿上人。
おさらい
いとすさまじうものしと聞こし召す このごろの御気色を見たてまつる上人女房などは かたはらいたしと聞きけり
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