風の音虫の音につけ 095

2019-09-25☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺,05 空間/天候・風景・自然・環境,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第7章15

かぜおとむしにつけて もののみかなしうおぼさるるに 殿でんにはひさしくうへつぼねにものぼりたまはず つきのおもしろきにくるまで あそびをぞしたまふな  難易度☆☆☆
風の音虫の音を聞くにつけて、帝はこの宿命のことばかりを悲しくお思いなのに、弘徽殿の女御ときては久しく上の御局にも上がらず、月のうつくしさにかこつけ、夜が更けるまで管絃の遊びをなさっている音がする。

解釈の決め手

上の御局

帝の普段生活される部屋が清涼殿。その北東の隅に弘徽殿の女御用の上の御局がある。帝の政務は基本昼で終わる。午後から帝は女御・更衣の部屋へゆき、夜は女御・更衣が帝のもとに上がるのが一般則である。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:弘徽殿の女御

  • 風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに A
    風の音虫の音を聞くにつけて、帝はこの宿命のことばかりを悲しくお思いなのに、
  • 弘徽殿には久しく上の御局にも参う上りたまはず》B
    弘徽殿の女御ときては久しく上の御局にも上がらず、
  • 月のおもしろきに 夜更くるまで遊びをぞしたまふなる C
    月のうつくしさにかこつけ、夜が更けるまで管絃の遊びをなさっている音がする。

直列型:A<B<C

  • A<B<C:A<B<C
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:に…まで…をぞしたまふなる/三次

〈[帝]〉風の音虫の音につけて もののみ悲しう171さるる 〈弘徽殿〉には久しく上の御局にも参う上りたまはず 172のおもしろき 夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 171「思さるるに」→「したまふなる」
  • 172「月のおもしろきに」:「に」は「月の美しさを理由に」と考え格助詞としたが、一般的には「月がうつくしいので」と訳し接続助詞と考える。文体の簡潔さから前者としたに過ぎない。

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • 音虫つけ もののみ悲しう思さるる 弘徽殿久しく上御局参う上りたまはず おもしろき夜更くるまで 遊びしたまふなる
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • 風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに 弘徽殿には久しく上の局にも参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

もの

運命、動かしがたい事実。

なる

伝聞の助動詞。

おさらい

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに 弘徽殿には久しく上の御局にも参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる

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