年ごろうれしく面だ 068

2019-10-01☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第6章04

としごろうれしくおもだたしきついでにてりたまひしもの  かかるおほむせうそこにてたてまつる かへがへすつれなきいのちにもはべるか 
難易度☆☆☆

年来は喜ばしく晴れがましい機会にお立ち寄りいただきました運命であったものを、このようなご用向で今お目にかかるのは、返す返すもままならぬ命ですこと。

解釈の決め手

つれなき命:逆順

「つれなし」は連れがないことから生じる感情が原義。娘だけを奪って、私を置き去りにした運命。娘の末期の歌「命なりけり」と呼応する。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:母君命婦

  • 年ごろうれしく面だたしきついでにて立ち寄りたまひしもの A
    年来は喜ばしく晴れがましい機会にお立ち寄りいただきました運命であったものを、
  • かかる御消息にて見たてまつる》B
    このようなご用向で今お目にかかるのは、
  • 返す返すつれなき命にもはべるかな C
    返す返すもままならぬ命ですこと。

直列型:A<B<C

  • A<B<C:A<B<C
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:命にもはべるかな/四次

〈[母君]〉年ごろうれしく面だたしきついでにて〈[命婦]〉122ち寄りたまひしものを かかる御消息にて〈見たてまつる〉 返す返すつれなき命にもはべるかな
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 122「立ち寄りたまひしものを」→「見たてまつる」(過去の「し」と現在の「つる」の対比)

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • 年ごろうれしく面だたしきついでにて立ち寄りたまひものを かかる御消息にて見たてまつる 返す返すつれなき命はべるかな
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • 年ごろうれしく面だたしきついでにて立ち寄りたまひしものを かかる消息にて見たてまつる 返す返すつれなき命にもはべるかな
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

面だたしき

世間に誇れる。帝の寵愛が娘に向かっているなどの報告が命婦からあったのであろう。

かかる御消息

帝からの娘の死の弔意。

おさらい

年ごろうれしく面だたしきついでにて立ち寄りたまひしものを かかる御消息にて見たてまつる 返す返すつれなき命にもはべるかな

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