見たてまつりて く 066
解読編
目次
桐壺 原文 現代語訳 第6章02
見たてまつりて くはしう御ありさまも奏しはべらまほしきを 待ちおはしますらむに 夜更けはべりぬべし とて急ぐ
難易度☆☆☆
お見舞い申し上げて、詳しくご様子も奏上いたしたいところではございますが、お待ちになっておいででしょうし、夜も更けてしまいましょう、と帰り支度をする。
解釈の決め手
御ありさまも:使者の主目的は何か
母君が光源氏を参内させる意思があるのかどうかの確認が、帝の使者としての第一の目的。すでにそれは果たされた。光源氏の様子は女房たちから帝は問いただすルートを持っているのである。ここに「も」があることで、命婦の使者の目的の主と従の区別が闡明になる。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:命婦/光源氏/帝/時
- 《見たてまつりて・くはしう御ありさまも奏しはべらまほしきを》 A・B
お見舞い申し上げて、詳しくご様子も奏上いたしたいところではございますが、 - 《待ちおはしますらむに・夜更けはべりぬべし》 C・D
お待ちになっておいででしょうし、夜も更けてしまいましょう、 - 《とて急ぐ》E
と帰り支度をする。
分岐型:A<B<(C<)D<E
- A<B<(C<)D<E:A<B<D<E、C<D
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:とて急ぐ/四次
〈[命婦]〉@見たてまつりて くはしう御ありさまも奏しはべらまほしきを 〈[帝]〉待ちおはしますらむに 〈夜〉更けはべりぬべし@ とて急ぐ
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
- 120「御ありさまも奏しはべらまほしきを」→「夜更けはべりぬべし」
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- 見たてまつりて くはしう御ありさまも奏しはべらまほしきを 待ちおはしますらむに 夜更けはべりぬべし とて急ぐ
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- 見たてまつりて くはしう御ありさまも奏しはべらまほしきを 待ちおはしますらむに 夜更けはべりぬべし とて急ぐ
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
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語彙編
らむ
現在推量。
ぬべし
完了してしまう。夜が更けることがし終わってしまう。
急ぐ
帰り支度をする。
おさらい
見たてまつりて くはしう御ありさまも奏しはべらまほしきを 待ちおはしますらむに 夜更けはべりぬべし とて急ぐ
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