鈴虫の 声の限り 076
解読編
桐壺 原文 現代語訳 第6章12
鈴虫の 声の限りを尽くしても 長き夜あかずふる涙かな えも乗りやらず
難易度☆☆☆
難易度☆☆☆
松虫が羽を振り 声を限りに鳴くごとく長い秋の夜を泣き通しても 流れつづける涙ですこと どうにも車に乗り込めません。
★
解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:命婦
- 《鈴虫の声の限りを尽くしても》A
松虫が羽を振り 声を限りに鳴くごとく - 《長き夜あかずふる涙かな》B
長い秋の夜を泣き通しても 流れつづける涙ですこと - 《えも乗りやらず》C
どうにも車に乗り込めません。
中断型:A<BφC
- A<BφC:A<B、C
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:涙かな/三次φえも乗りやらず/一次
〈鈴虫〉の 声の限りを尽くしても 長き夜あかずふる涙かな 〈[命婦]〉えも乗りやらず
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
- 「あかず」:夜が「開かず」と涙が「飽かず」が掛詞
- 「ふる」:涙が降ると羽を振るが掛詞、鈴虫の鈴と振るが縁語
- 145「声の限りを尽くしても」→「あかずふる」
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- 鈴虫の 声の限りを尽くしても 長き夜あかずふる涙かな えも乗りやらず
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- 鈴虫の 声の限りを尽くしても 長き夜あかずふる涙かな えも乗りやらず
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
★ ★
語彙編
鈴虫
王朝文学に出る「鈴虫」は今日チンチロリンと泣く松虫のことであり、今日リンリンとなく鈴虫は松虫といった。
おさらい
鈴虫の 声の限りを尽くしても 長き夜あかずふる涙かな えも乗りやらず
★ ★ ★