ほど経ばすこしうち 061

2019-09-27☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺,中断型,分配型

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第5章12

ほどばすこしうちまぎるることもやと ぐすつきへていとしのびがたき  わりなきわざにな  いはけなきひとをいかにとおもひやりつつ もろともにはぐくまぬおぼつかなさを いまはなほむかしのかたみになずらへ ものしたまへ な こまやかにかせたまへ 
難易度☆☆☆

時が経てば少しは心の紛れることもあろうかと、待ち過ごす月日と共に忍び難たさが増すのは、割り切れぬ道理であるよ。年端のゆかぬお方はいかがかと思いをかけながら、ご一緒にお育てできない心もとなさといっては。今はこのわたくしを亡き人を思い出すよすがと見なしてお出でなさいなどと、細やかな心遣いでしたためていらっしゃる。

解釈の決め手

なずらへて

擬する。AをBになぞられる。自分(帝)を亡き娘を思い出すよすがと思って、との意味。帝には桐壺更衣と過ごした様々な思い出があるから、娘を思い出すよすがとなる。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:光源氏母君

  • ほど経ばすこしうち紛るることもやと》A
    時が経てば少しは心の紛れることもあろうかと、
  • 待ち過ぐす月日に添へていと忍びがたきは・わりなきわざになむ》B・C
    待ち過ごす月日と共に忍び難たさが増すのは、割り切れぬ道理であるよ。
  • いはけなき人をいかにと思ひやりつつ・もろともに育まぬ》D・E
    年端のゆかぬお方はいかがかと思いをかけながら、ご一緒にお育てできない
  • おぼつかなさを》F
    心もとなさといっては。
  • 今はなほ昔のかたみになずらへてものしたまへ G
    今はこのわたくしを亡き人を思い出すよすがと見なしてお出でなさい、
  • などこまやかに書かせたまへり》H
    などと細やかな心遣いでしたためていらっしゃる。

分岐型・中断型・分配型:A<B<CφD<E<FφGφ、*C+*F+*G<H

  • A<B<CφD<E<FφGφ、*C+*F+*G<H:A<B<C、D<E<F、G、*C+*F+*G<H
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:など…書かせたまへり/五次

〈[帝]〉114ど経ばすこしうち紛るることもや 待ち過ぐす月日に添へていと忍びがたき〉は わりなきわざになむ@ いはけなき人いかにと思ひやりつつ もろともに育まぬおぼつかなさを なほ昔のかたみになずらへてものしたまへなど こまやかに書かせたまへり
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 114「ほど経ばすこしうち紛るることもやと 待ち過ぐす月日に添へていと忍びがたきは わりなきわざになむ」:「ほど経るままに せむ方なう悲しう思さるるに 御方がたの御宿直なども絶えてしたまはず ただ涙にひちて明かし暮らさせたまへば 見たてまつる人さへ 露けき秋なり/01-047」と呼応

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • ほど経すこしうち紛るること 待ち過ぐす月日添へいと忍びがたき わりなきわざなむ いはけなき人いかに思ひやりつつ もろともに育まおぼつかなさ 今なほ昔かたみなずらへものしたまへ などこまやかに書かたまへ
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • ほど経ばすこしうち紛るることもやと 待ち過ぐす月日に添へていと忍びがたきは わりなきわざになむ いはけなき人をいかにと思ひやりつつ もろともに育まぬおぼつかなさを 今はなほ昔のかたみになずらへてものしたまへ などこまやかに書かせたまへ
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

わりなき

道理に合わない、理屈にあわない。時間の経過とともに、更衣を失った悲しみは紛れてゆくだろうと思われるのに、逆に耐えがたいことに対して。

わざ

隠れた神意が原義という。

いはけなき

年端のゆかない。

おぼつかなさ

離れているために、情報を得られないことから発生する気持ち。

かたみ

亡き人を思い出すよすが、手立て。

ものし

様々な動詞の代わりに使用する。ここでは、参内をすすめる、おぼめかし表現。

おさらい

ほど経ばすこしうち紛るることもやと 待ち過ぐす月日に添へていと忍びがたきは わりなきわざになむ いはけなき人をいかにと思ひやりつつ もろともに育まぬおぼつかなさを 今はなほ昔のかたみになずらへてものしたまへなど こまやかに書かせたまへり

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