若宮のいとおぼつか 059

2019-09-29☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第5章10

わかみやのいとおぼつかなく つゆけきなかぐしたまふも こころぐるしうおぼさるるを とくまゐりたまへなど はかばかしう のたまはせやらず むせかへら たまひつつ かつはひとこころよわたてまつるらむと おぼしつつまぬにしもあらぬおほむしきこころぐるしさに うけたまはてぬやうにてな まかではべりぬるとて おほむふみたてまつ 
難易度☆☆☆

若宮が何とも気がかりなまま、露深い里で泣きぬれてお過ごしになるのも、おいたわしくお思いですのに、早くご参内なさいなどと、はっきり口になさりもせず、むせ返ってしまわれながら、方や心弱い帝だと人も見ることだろうねと、はた目が気にならぬでもないご様子がお気の毒で、承り果てぬまままかり越した次第ですと、帝のお手紙をお渡しする。

解釈の決め手

心弱く見たてまつるらむ:天子に求められるイメージ

一国を統べる帝王として気弱な面を示すことはマイナスに働く。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:光の君母君(帝の反対勢力)命婦

  • 若宮のいとおぼつかなく 露けき中に過ぐしたまふも 心苦しう思さるるをA
    若宮が何とも気がかりなまま、露深い里で泣きぬれてお過ごしになるのも、おいたわしくお思いですのに、
  • とく参りたまへなど はかばかしうものたまはせやらず むせかへらせたまひつつB
    早くご参内なさいなどと、はっきり口になさりもせず、むせ返ってしまわれながら、
  • かつは人も心弱く見たてまつるらむと思しつつまぬにしもあらぬC
    方や心弱い帝だと人も見ることだろうねと、はた目が気にならぬでもないご様子がお気の毒で、
  • 御気色の心苦しさに・承り果てぬやうにてなむまかではべりぬるとて・御文奉るD・E・F
    承り果てぬまままかり越した次第ですと、帝のお手紙をお渡しする。

分岐型:A<B+C<D<E<F

  • A<B+C<D<E<F:A<B+C<D<E<F
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:とて…奉る/五次

〈[帝]〉108宮〉のいとおぼつかなく 露けき中に過ぐしたまふも 109苦しう思さるる @110く参りたまへ@など はかばかしうものたまはせやらず 111せかへらせたまひつつ 112つは113も心弱く見たてまつるらむ 思しつつまぬにしもあらぬ御気色の心苦しさ 承り果てぬやうにてなむまかではべりぬるとて 〈[私=命婦]〉御文奉る
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • この文は仰せ言を賜れた帝の状況説明。視点が命婦に移っている。
  • 108「若宮のいとおぼつかなく露けき中に過ぐしたまふも心苦しう」:帝のお気持ちを間接話法で伝える
  • 109「心苦しう思さるるを」→「のたまはせやらずむせかへらせたまひ」
  • 110「とく参りたまへなど」:帝の言葉を直説法で伝えるというより、帝に代わって命婦が母君に参内を勧めた言葉
  • 111「むすかへらせたまひつつ」→「思しつつまぬにしもあらぬ」
  • 112「かつは」は直前「つつ」の強調。
  • 113「人も心弱く見たてまつるらむ」:帝が周囲にもらした言葉

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • 若宮いとおぼつかなく 露けき中過ぐしたまふ 心苦しう思さるる とく参りたまへなど はかばかしうのたまはせやら むせかへらたまひつつ かつ心弱く見たてまつるらむ 思しつつまぬにしもあら御気色心苦しさ 承り果てやうなむ まかではべりぬる 御文奉る
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • 若宮のいとおぼつかなく 露けき中に過ぐしたまふも 心苦しう思さるるを とく参りたまへなど はかばかしうものたまはせやらず むせかへらせたまひつつ かつは人も心弱く見たてまつるらむと 思しつつまぬにしもあらぬ気色の心苦しさに 承り果てぬやうにてなむ まかではべりぬるとて 奉る
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

はかばかしう

物事がはきはき進む形容。

おさらい

若宮のいとおぼつかなく 露けき中に過ぐしたまふも 心苦しう思さるるを とく参りたまへなど はかばかしうものたまはせやらず むせかへらせたまひつつ かつは人も心弱く見たてまつるらむと 思しつつまぬにしもあらぬ御気色の心苦しさに 承り果てぬやうにてなむ まかではべりぬるとて 御文奉る

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