女御とだに言はせず 041

2019-09-29☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第4章06

女御にようごとだにはせずなりぬる  あかずくちしうおぼさるれば いまひときざみくらゐをだにと おくらせたまふなりけ 
難易度☆☆☆

生前后(きさき)はおろか女御とさえ呼ばせずに終ったことが、残念でならぬとお考えなので、せめて一階級だけでもと贈られたのです。

解釈の決め手

だに

最低限の願望、せめて。できるなら皇后や中宮に選び、光の君を東宮にさせてやりたかったとの帝の思い。「来し方行く末思し召されず、よろづのことを泣く泣く契りのたまはすれど(後先のわきまえもなく、どんな誓いをも涙ながらにお立てになるのですが)/01-028」で帝は口約束をしている。おそらくその手のことは、幾度となく口にしていたろう、そのことを思い出している。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:

  • 女御とだに言はせずなりぬるが・あかず口惜しう思さるれば》A・B
    生前后(きさき)はおろか女御とさえ呼ばせずに終ったことが、残念でならぬとお考えなので、
  • いま一階の位をだにと贈らせたまふなりけり C
    せめて一階級だけでもと贈られたのです。

直列型:A<B<C

  • A<B<C:A<B<C
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:ば…と…贈らせたまふなりけり/三次

〈[帝]〉女御とだに084はせずなりぬる〈[の]〉 あかず口惜しう思さるれ いま一階の位をだに 贈らせたまふなりけり
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 084「言はせずなりぬるが」(主格「が」)/「あかず口惜しう」:主語/述語

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • 女御だに言はせずなりぬる あか口惜しう思さるれ いま一階だに 贈らたまふなりけり
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • 女御とだに言はせずなりぬるが あかず口惜しう思さるれば いま一階の位をだにと 贈らせたまふなりけり
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

言はせず

帝が桐壺更衣に自分を女御と呼ばせる。「せ」は使役。

あかず

飽くことなく、不満で。

口惜しう

期待に反する結果となり運命を恨む気持ち。

一階の位

正四位上から従三位(じゅさんみ)になった。これは更衣クラスから女御クラスに昇進したことを意味する。

おさらい

女御とだに言はせずなりぬるが あかず口惜しう思さるれば いま一階の位をだにと 贈らせたまふなりけり

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