息も絶えつつ 聞こ 032 ★☆☆

2019-09-29★☆☆:語義の洗い直しから01 桐壺,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第3章09

いきえつつ こえまほしげなることは りげなれど いとくるしげにたゆげなれ  かくながら もかくもならむを らんじはてむとおぼすに 今日けふはじむべきいのりども さるべきひとびとうけたまはれる 今宵こよひよりと こえいそがせば わりなくおもほしながら まかでさせたま 
難易度★☆☆

息も絶え絶えに、申し上げておきたいことがおありの様子ながら、どうにも苦しげで辛そうなので、このままどうなれ結果を見届けようと、帝は決心なさるが、今日始めねばなりませぬご祈祷など、例の立派な験者たちが承っております、今宵にもと側女がせき立て申し上げるので、気持ちの納めようもないご心痛ながら、退出をお許しになったのです。

解釈の決め手

聞こえまほしげなること:女か母か母か女か

二つの解釈が可能である。 「息の絶えつつ」の前で文を切る場合(女から母に戻る解釈):光の君の後見をくれぐれもお願いすること。 「息の絶えつつ」の前で切らない場合:(女のままの意識):お約束を守れず申し訳ございませんという帝への別れの挨拶。 しかし、「いとかく思ひたまへましかば、と」を意味的に下にかけることには無理があるので、前の解釈の方が落ち着くように思う。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:桐壺更衣修験者不明ながら帝つきの女官(上宮仕へ人)

  • 息も絶えつつ・聞こえまほしげなることはありげなれど いと苦しげにたゆげなればA・B
    息も絶え絶えに、申し上げておきたいことがおありの様子ながら、どうにも苦しげで辛そうなので、
  • かくながらともかくもならむを 御覧じはてむと思し召すに C
    このままどうなれ結果を見届けようと、帝は決心なさるが、
  • 今日始むべき祈りども さるべき人びとうけたまはれる 今宵よりと・聞こえ急がせば D・E
    今日始めねばなりませぬご祈祷など、例の立派な験者たちが承っております、今宵にもと側女がせき立て申し上げるので、
  • わりなく思ほしながら まかでさせたまふ》F
    気持ちの納めようもないご心痛ながら、退出をお許しになったのです。

分岐型:A<B<C<(D<)E<F

  • A<B<C<(D<)E<F:A<B<C<E<F、D<E
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:ば…思ほしながらまかでさせたまふ/六次

〈[御息所]〉069〉も絶えつつ 聞こえまほしげなることはありげなれ いと苦しげにたゆげなれ 〈[帝]〉かくながらともかくもならむ 御覧じはてむと思し召す 今日始むべき祈りども さるべき〈人びと〉うけたまはれる 今宵より 〈[近習]〉聞こえ急がせ 〈[帝]〉わりなく思ほしながら まかでさせたまふ
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 069「息も絶えつつ」→「聞こえまほしげなる」

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • 絶えつつ 聞こえまほしげなることありげなれ いと苦しげにたゆげなれ かくながらともかくもなら 御覧じはて思し召す 今日始むべき祈りども さるべき人びとうけたまはれ 今宵より 聞こえ急がせ わりなく思ほしながら まかでさせたまふ
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • 息も絶えつつ 聞こえまほしげなることはありげなれど いと苦しげにたゆげなれば かくながらともかくもならむを 御覧じはてむと思し召すに 今日始むべき祈りども さるべき人びとうけたまはれる 今宵よりと 聞こえ急がせば わりなく思ほしながら まかでさせたまふ
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

かくながら

この状態のまま。

ともかくもならむ

死を忌避した婉曲表現。

御覧じはてむ

最後の最後まで見届けよう。

さるべき

そうあるべき、それに相応しい、即ち、適任者・立派なの意味。

わりなく

道理にあわないが原義。意に反するが。

おさらい

息も絶えつつ 聞こえまほしげなることはありげなれど いと苦しげにたゆげなれば かくながらともかくもならむを 御覧じはてむと思し召すに 今日始むべき祈りども さるべき人びとうけたまはれる 今宵よりと 聞こえ急がせば わりなく思ほしながら まかでさせたまふ

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