この御子生まれたま 012

2019-09-27☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺,07 予言約束・予知神託・名付・夢

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第2章06

この御子みこまれたまひてのちは いとこころことにおもほしおきてたれ  ばうにもようせず この御子みこたまふべきなめ と いち皇子みこ女御にようごおぼうたが 
難易度☆☆☆

この御子がお生れになってからは正妻のように格別の計らいをなされたために、皇太子へもことによると、この御子がお立ちになるやもと第一皇子の母の女御は危惧なさっておられました。

解釈の決め手

心ことに

特別に。具体的には、弘徽殿の女御に以下の疑念を抱かすのであるから、第一夫人(最初に入内した夫人)を差し置いて、正妻扱いをしたと考えられる。なお、正妻はまだ決定されていない。女御の中から正妻が一人ないし二人(皇后と中宮、両者に優劣はない)選ばれることになっている。皇太子が決まれば、公的な手続きを踏んだ上で、自ずとその母親が正妻となる。「心ことに思ほしおく」は「おのづから軽き方にも見えしを/01-011」を受けるので、「思ほしおく」の対象は桐壺更衣であって、御子と考えるのは誤りである。

ここがPoint

分岐その4

「坊にもようせずはこの御子の居たまふべきなめり」は「と…思し疑へり」という表現から弘徽殿の心中語であることがわかる。心中語や会話の前後は一般に分岐が起こる。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:光源氏弘徽殿の女御

  • この御子生まれたまひて後は・いと心ことに思ほしおきてたればA・B
    この御子がお生れになってからは妻のごとく格別の計らいをなされたために、
  • 坊にもようせずはこの御子の居たまふべきなめり・と一の皇子の女御は思し疑へり C・D
    皇太子へもことによると、この御子がお立ちになるやもと第一皇子の母の女御は危惧なさっておられました。

分岐型:A<B<(C<)D

  • A<B<(C<)D:A<B<D、C<D
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:ば…と…は思し疑へり/二次

038〈御子〉生まれたまひて 〈[帝]〉いと心ことに思ほしおきてたれ にもようせずはこの〈御子〉の居たまふべきなめり 一の皇子の〈女御〉は思し疑へり
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 038「この御子生まれたまひて後は」→「いと心ことに思ほしおきてたれば」

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • 御子生まれたまひ いと心ことに思ほしおきてたれ 坊ようせ御子居たまふべきなめり 一皇子女御思し疑へ
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • この子生まれたまひて後は いと心ことに思ほしおきてたれば 坊にもようせずはこの子の居たまふべきなめりと 一の皇子の女御は思し疑へ
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

思ほしおき

具体的には正妻のように扱うこと。

皇太子のこと。皇太子の役所を東宮坊といい、転じて坊のみで皇太子をさす。

ようせずは

悪くすると、ひょっとすると。

この御子

光の君。

居たまふ

東宮位におつきになる。

おさらい

この御子生まれたまひて後は いと心ことに思ほしおきてたれば 坊にもようせずはこの御子の居たまふべきなめりと 一の皇子の女御は思し疑へり

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