もとの木立山のたた 181
解読編
目次
桐壺 原文 現代語訳 第10章41
もとの木立山のたたずまひ おもしろき所なりけるを 池の心広くしなして めでたく造りののしる
難易度☆☆☆
もとの木立や築山の配置は趣きがあったが、池の幅を広くしなし立派な造営であると大変な評判が立った。
解釈の決め手
めでたく造りののしる:「めでたし」は結果の叙述用法
大騒ぎして造営すると訳されてきたが、わいわい騒ぎながらつくることに、物語る意味はない。造営の結果が世評を得るのだ。王朝時代の造営には今の比ではない、多くの時間と人手が必要であった。大人数で作る動作を騒がしくと考えるのが一般的だが、ここはやはり作り手の問題ではなく、徐々にできあがってゆく中、往来の人が足を止め、すごいなあ、立派なものだなあ、誰の邸宅だろう、などと評判が立つ、そうした中、造営が進んで行くことが、「造りののしる」だと思う。そうでないと「めでたく」の意味がとれない。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:修理職内匠寮/01-180/世の人
- 《もとの木立山のたたずまひ おもしろき所なりけるを》A
もとの木立や築山の配置は趣きがあったが、 - 《池の心広くしなして・めでたく造りののしる》B・C
池の幅を広くしなし、立派な造営であると大変な評判が立った。
分岐型:A+B<C
- A+B<C:A+B<C
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:めでたく造りののしる/四次
〈[修理職内匠寮]〉もとの木立山の〈たたずまひ〉 おもしろき所なりけるを 池の心広くしなして 〈[世人]〉めでたく造りののしる
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- もとの木立山のたたずまひ おもしろき所なりけるを 池の心広くしなして めでたく造りののしる
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- もとの木立山のたたずまひ おもしろき所なりけるを 池の心広くしなして めでたく造りののしる
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
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語彙編
おもしろき
趣味性がある、趣深い、興味をひく。
池の心
池の面。
おさらい
もとの木立山のたたずまひ おもしろき所なりけるを 池の心広くしなして めでたく造りののしる
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