所々の饗など 内蔵 144
解読編
桐壺 原文 現代語訳 第10章04
所々の饗など 内蔵寮穀倉院など 公事に仕うまつれる おろそかなることもぞと とりわき仰せ言ありて 清らを尽くして仕うまつれり
難易度☆☆☆
臣下それぞれに饗す膳などは、内蔵寮(くらづかさ)や穀倉院などが役人仕事であたっては気持ちが籠もらぬと、特別に帝のご指図があって贅美を尽くした物に仕上がった。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:儀式を務める役人/帝
- 《所々の饗など 内蔵寮穀倉院など 公事に仕うまつれる・おろそかなることもぞと》A・B
臣下それぞれに饗す膳などは、内蔵寮(くらづかさ)や穀倉院などが役人仕事であたっては気持ちが籠もらぬと、 - 《とりわき仰せ言ありて・清らを尽くして仕うまつれり》C・D
特別に帝のご指図があって贅美を尽くした物に仕上がった。
直列型:(A<B<)C<D
- (A<B<)C<D:A<B<C<D
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:を尽くして仕うまつれり/四次
@所々の饗など 内蔵寮穀倉院など 〈[役人]〉公事に〈仕うまつれる〉 おろそかなることもぞと@ とりわき〈仰せ言〉ありて 〈[役人]〉清らを尽くして仕うまつれり
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
- 「仕うまつれる」と「おろそかなることもぞ」との関係が明確でない。麦生文庫本は「を」を入れる。接続助詞または「こともぞ起こさんや」などの省略と考えるなら格助詞でつないでいる。今はテキストは変えず、「仕うまつれる」を「おろそかなることもぞ」の主語に立てる。
- 「こともぞ」の下には述語が省略されている。自動詞「あらむや」「ありなむや」などを補って考えるとよい。
- 222「所々の饗など」「内蔵寮穀倉院など」並列→「公事に仕うまつれる」
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- 所々の饗など 内蔵寮穀倉院など 公事に仕うまつれる おろそかなることもぞと とりわき仰せ言ありて 清らを尽くして仕うまつれり
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- 所々の饗など 内蔵寮穀倉院など 公事に仕うまつれる おろそかなることもぞと とりわき仰せ言ありて 清らを尽くして仕うまつれり
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
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語彙編
所々
式後、各所で百官に対し、位ごとに祝いの膳が出た。
内蔵寮
宝物や献上品を管理した役所。
穀倉院
諸国の納税品を納める倉。
公事
公的な、型どおりの儀式。
おさらい
所々の饗など 内蔵寮穀倉院など 公事に仕うまつれる おろそかなることもぞと とりわき仰せ言ありて 清らを尽くして仕うまつれり
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