五六日さぶらひたま 176 ★☆☆

2019-10-11★☆☆:語義の洗い直しから01 桐壺

解読編

桐壺 原文 現代語訳 第10章36

いつか六日むいかさぶらひたまひて おほい殿どのふつか三日みかなどえにまかでたまへど ただ いまをさなおんほどにつみなくおぼしなして いとな かしづききこえたま  難易度★☆☆
五六日宮中にお仕えされて、大臣邸には二三日いるなど絶え絶えのおいでではあるけれど、ただ今は年端もゆかぬからと悪る気なくお取りになって、甲斐甲斐しくお世話申し上げになる。

解釈の決め手

今は幼き御ほどに:婚儀を終えてなお幼きとする意図は

「幼きほどの心一つにかかりて/01-173」では語り手は「御」をつけていない。ここは左大臣の心中語で御になっていると考えるのがよい。元服を済ませた後、帝は大人になったので御簾の内にも入れないのに、婿取りをし盛大に婚儀を挙げながら、「幼き御ほど」は矛盾した表現である。ここには、婿が娘を抱かないことに対する親としてのこじつけが「幼き」と言わせるのだろう。

ただ…罪なく思しなして:その罪とは

「思しなす」とはそうでないものを無理にそう思おうとすること。それを語り手が強調するために「ただ」が加わっている。罪があるのに罪がないと思おうとしたということ。それは、婚儀を催しながら、娘を抱かないことに対しての罪であろう。

解析編

語りの対象・構造型・経路図

対象:光源氏左大臣

  • 五六日さぶらひたまひて・大殿に二三日など絶え絶えにまかでたまへど》A・B
    五六日宮中にお仕えされて大臣邸には二三日いるなど、絶え絶えのおいでではあるけれど、
  • ただ今は幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ》C
    ただ今は年端もゆかぬからと悪る気なくお取りになって、甲斐甲斐しくお世話申し上げになる。

直列型:A<B<C

  • A<B<C:A<B<C
  • A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
  • 〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

述語句・情報の階層・係り受け

構文:ただ…は…に罪なく思しなしていとなみかしづききこえたまふ/二次

〈[光源氏]〉五六日さぶらひたまひて 大殿二三日など絶え絶えにまかでたまへ 〈[左大臣]〉246 今幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ
  • 〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]:補 /:挿入 :分岐
  • 246「ただ」→「思しなして」/「ただ今は」ではない。

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

  • 五六日さぶらひたまひ 大殿二三日など絶え絶えにまかでたまへ ただ 今幼き御ほど罪なく思しなし いとなみかしづききこえたまふ
  • 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
  • 五六日さぶらひたまひて 大殿に二三日など絶え絶えにまかでたまへど ただ 今は幼きほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ
  • 尊敬語 謙譲語 丁寧語

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語彙編

五六日

内裏に住む。母の局であった桐壺に住む。

大殿

左大臣宅、正室である葵の上がいる。

いとなみ

精を出して。

おさらい

五六日さぶらひたまひて 大殿に二三日など絶え絶えにまかでたまへど ただ 今は幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ

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