御禄の物 主上の命 158
解読編
桐壺 原文 現代語訳 第10章18
御禄の物 主上の命婦取りて賜ふ 白き大袿に 御衣一領 例のことなり
難易度☆☆☆
引入れ役のご褒美の品物を、帝付きの命婦が取り次いで下賜される。白い大袿にご衣装一揃え、これは慣例通りである。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:命婦/語り手の説明
- 《御禄の物 主上の命婦取りて賜ふ》A
引入れ役のご褒美の品物を、帝付きの命婦が取り次いで下賜される。 - 《白き大袿に御衣一領 例のことなり》B
白い大袿にご衣装一揃え、これは慣例通りである。
中断型:AφB
- AφB:A、B
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:取りて賜ふ/一次φ例のことなり/一次
御禄の物 主上の〈命婦〉取りて賜ふ 白き大袿に御衣一領 例のことなり
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- 御禄の物 主上の命婦取りて賜ふ 白き大袿に御衣一領 例のことなり
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- 御禄の物 主上の命婦取りて賜ふ 白き大袿に御衣一領 例のことなり
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
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語彙編
禄
本日の引入の大臣役を務めたことに対する臨時の下賜。
主上の命婦
帝つきの命婦。天皇が自ら玉座を降りて左大臣に下賜するのではなく、命婦の手を通して下賜が行われる。
大袿
大きめの仕立てになっているので、着用時には自分の身の丈に仕立て直す。
例のこと
規則通り。「限りある事に事を添へさせたまふ/01-142」とあった「限りある事」のうち。
おさらい
御禄の物 主上の命婦取りて賜ふ 白き大袿に御衣一領 例のことなり
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