かうぶりしたまひて 150
解読編
桐壺 原文 現代語訳 第10章10
かうぶりしたまひて 御休所にまかでたまひて 御衣奉り替へて 下りて拝したてまつりたまふさまに 皆人涙落としたまふ
難易度☆☆☆
若宮は加冠の儀を終えられ休息所にお下がりになり、お召し替えをすませて庭に降り帝にお礼の拝舞をなされるお姿に、皆ひと涙をお流しになった。
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解析編
語りの対象・構造型・経路図
対象:光源氏/元服に参列した人々
- 《かうぶりしたまひて 御休所にまかでたまひて 御衣奉り替へて 下りて拝したてまつりたまふさまに》A
若宮は加冠の儀を終えられ休息所にお下がりになり、お召し替えをすませて庭に降り帝にお礼の拝舞をなされるお姿に、 - 《皆人涙落としたまふ》B
皆ひと涙をお流しになった。
直列型:A<B
- A<B:A<B
- A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
- 〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列 〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
述語句・情報の階層・係り受け
構文:に…落としたまふ/二次
〈[光源氏]〉かうぶりしたまひて 御休所にまかでたまひて 御衣奉り替へて 下りて拝したてまつりたまふさまに 〈皆人〉涙落としたまふ
- 〈主〉述:一朱・二緑・三青・四橙・五紫・六水 [ ]:補 /:挿入 @・@・@・@:分岐
附録:助詞・敬語の識別・助動詞
- かうぶりしたまひて 御休所にまかでたまひて 御衣奉り替へて 下りて拝したてまつりたまふさまに 皆人涙落としたまふ
- 助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
- かうぶりしたまひて 御休所にまかでたまひて 御衣奉り替へて 下りて拝したてまつりたまふさまに 皆人涙落としたまふ
- 尊敬語 謙譲語 丁寧語
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語彙編
かうぶりしたまひて
描かれていないが、引入の大臣による加冠の儀式は終わったのである。儀式における大臣の心境は、帝との歌のやりとりを通して後に語られる/01-159/01-160。
御休所
清涼殿の殿上の間の南の下侍(しもさぶらい)があてられた。
御衣奉り替へ
儀式様から拝舞様に服装を変える。「奉り」は本動詞で「着る」の尊敬語。
拝し
帝へのお礼の拝舞。
おさらい
かうぶりしたまひて 御休所にまかでたまひて 御衣奉り替へて 下りて拝したてまつりたまふさまに 皆人涙落としたまふ
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